Switch(Switch2)で遊べるファイアーエムブレムについて

現在Switch(Switch2)で遊べるファイアーエムブレムは8作品あります。

この記事では、それぞれの作品の特徴について書いていきます。

いずれの作品も2年以内に1度は遊んでいるので、そこそこフラットな視点での感想になっていると思います。

暗黒竜と光の剣

シリーズ第1作。本作のリメイク版が紋章の謎に同梱されているため、そちらを遊ぶのがおすすめ。

というのも本作はシステム面での不便さが目立つからです。特にアイテム管理が出撃前にできないため、各ステージでクリア直前にアイテム整理をする必要に迫られます。

また、本作では必殺を防ぐ手段がなく、どんな強キャラであっても常に死の危険があります。もっとも、これは肯定的に見る方もいるかもしれません。


ただ、あくまで不便なだけであって難易度自体は低いと感じます。

特に主人公のマルスが強い。専用武器のレイピアが店売りされていて湯水の如く使えますし、メリクルレイピアにファルシオンと後半でさらに強力な専用武器も手に入ります。初期ファイアーエムブレムでは主人公が弱いイメージがありますが、本作はそれには当てはまりません。

シナリオ面でもリメイク版とは若干の差異もあるため、プレイする価値はあります。ただ一度クリアしたらもういいか、と思ってしまうほど不便なのも事実です。


クラスチェンジについても作品ごとに仕様が異なるため、言及しておきます。本作では「対応するクラスの基準値に満たないステータスが基準値まで引き上げられる」という仕様です。このため、早期クラスチェンジが有利です。

また、クラスチェンジアイテムも入手数が少ないため、誰をクラスチェンジさせるかも重要になってきます。最初から上級職なキャラの起用も視野に入ると思います。

紋章の謎

暗黒竜と光の剣」のリメイク版 + その続編となる「紋章の謎」という構成の作品です。シリーズを最初から遊びたい、という人はこの作品からやるのがおすすめ。

出撃準備画面の充実や必殺回避の概念などが登場し、格段に遊びやすくなっています。


暗黒竜と光の剣」編に関しては変わらず難易度は低め。一方で「紋章の謎」はやや難易度が高めとなっています(それでも後のシリーズにおけるハードやルナティックなどの高難易度モードほどではないです)。

紋章の謎」編では序盤から強力なキャラや武器が登場したり、ゲームの局面によって有利なクラスが変わったりします。そういう意味でも難易度は高めかもしれません。

シナリオ面では人間関係の描写など大幅に強化された印象です。


クラスチェンジに関しては「クラスごとに規定の数値が加算される」という仕様。このため、どのタイミングでクラスチェンジしてもよいです。

総レベルアップ回数を増やすためにクラスチェンジを遅らせるのが一般的ですが、序盤を有利にするために早々にクラスチェンジしてしまう、というのも充分に選択肢に入ってきます。

聖戦の系譜

本作の最大の特徴は練られたシナリオかと思います。一方で独自のシステムが多い作品でもあり、ゲーム的にも見どころが多いです。

ゲームは大きく親世代・子世代と別れていて、親世代で成立したカップリングに従ってその能力を受け継いだ子が後半戦を戦います。

強力な子を作るための組み合わせを考えるのも楽しいですし、一方でキャラ的な意味でのカップリングのこだわりも多々生まれるものと思います。

シナリオ面でも誰が誰の血筋なのかというのは重要な意味を持っていて、そういう意味でシナリオ面とシステム面が密接に繋がっているのも魅力と思います。


その他、本作の特徴的な部分としては、スキルの導入があります。

これだけならよくあるやつでしょ、と思うかもしれませんが、「追撃」「必殺」など過去作では標準的にどのユニットも持っていた性質をスキル化したのは偉業だと思っています。過去作では速いキャラが追撃できるから結局強い、というのがありましたが本作ではどれだけ速くてもスキルがないと追撃できません。

また三すくみの導入も本作から。これによって命中の低い斧も相手が槍であれば実用的な命中率を出すことができます。

総じて、過去作の問題点を解消するぞという意気込みが感じられ好印象です。


クラスチェンジに関しては紋章の謎同様「クラスごとに規定の数値が加算される」というものです。が、過去作と異なりクラスチェンジをしてもレベルが変化しません。またアイテムも必要としません。

単純にレベルが規定値に達したら誰でもすぐクラスチェンジしてOK、という明快な仕様となっています。

本作では常に全キャラ出撃できるため、「誰にリソースを使うのか」という選択が重要だった過去作に対して、「誰もが活躍できる運用を考える」という新しい考え方が必要な作品となっています。

封印の剣

封印の剣烈火の剣聖魔の光石GBA三部作とも呼ばれていて、システム面では極端に大きな差異はありません。

物語的には封印と烈火は繋がっていますが、聖魔は独立しています。


封印の剣で特徴的なのは主人公であるロイの賢さです。本作はどの地方でも大抵陰謀が張り巡らされているのですが、ロイはそれに抗し得る賢さを備えています。これは過去作どころか以降の作品でも珍しいキャラ付けかと思います。

一見すると紋章の謎のオマージュにも見える本作ですが、充分な独自性を備えていると考えます。

システム面では前作にあたるトラキア776を幾分マイルドにしたようなものとなっていますが、本作特有とも言えるようなものはないかもしれません。一応、高難易度モード(ハード)という概念が登場したのは本作からです。

全体的に命中率が低く敵も味方も攻撃を避けまくるため、戦闘が長期化しがち、運ゲーになりがち、といった側面はあります。


クラスチェンジ事情は紋章の謎とほぼ同じですが、それに加えて「上級職では経験値の入りが悪い」というのが追加されています(厳密にはこれもトラキア776から)。

このため、クラスチェンジは可能な限り遅らせたほうがいい作品となっています。

烈火の剣

封印の剣の前日譚となる作品。

本作は過去作のような軍同士の戦いではなく、主人公と仲間たちの冒険物語となっていて、それが特徴的です。

またシリーズ初のプレイヤーキャラ(マイユニット)が導入された作品。度々主人公たちがプレイヤーキャラに話しかけてくるため没入感があります。


本作は聖戦の系譜のように常に全キャラを出撃できるわけではありませんが、一方でどのキャラも育てればきちんと強くなり、また「このステージはこのクラスが活躍する」ということを出撃前に教えてもらえるため、いろんなキャラを使って遊ぶ楽しさがあります。

また主人公が3人いて、前半はリン編、後半はエリウッド編orヘクトル編の選択式。

特にヘクトルはシリーズ初の重装かつ斧な主人公ということで異彩を放っています。一般に「主人公が強いファイアーエムブレム」という認識が生まれたのはこの作品からかと思います。


本作は前作に比べて命中率が高くなっています。また速さが高い敵もそんなにいません。

結果、重装キャラが非常に強いという珍しい作品となっています。ヘクトルの強さはこの調整の恩恵を大いに受けています。

聖魔の光石

過去作に比べてシンプルな作品。プレイ時間も短めです。

一方でキャラの個性が極めて強く、またシナリオも一見オーソドックスでありながら見せ方が非常に上手く、印象に残るものとなっています。

ゲームはエイリークが主人公としてスタートし、中盤でエイリーク編とエフラム編に分岐。

この流れは烈火の剣と同様に見えますが、ルートごとの差異があまりなかった烈火に対して、本作ではエイリーク編とエフラム編は別物といっていい違いがあります。

一方のルートでは見えなかった事情がもう一方のルートで見えてくる、といった仕掛けになっていて、両方のルートを見ることでより深く楽しめます。

最初にシンプルな作品と書きましたが、両方のルートを遊ぶ前提であれば充分なボリュームがあります。


システム的な部分では、上級職が固定ではなく2つから選べるようになった点が大きい。

プレイスタイルや編成の都合に合わせてクラスを選べるので周回プレイが楽しくなります。

風花雪月

おそらく現時点で最もプレイ人口が多いのでは、と思われる作品(実際は知らない)。

世界観の作り込みがすごく、雰囲気的な部分も含めて聖戦の系譜に近いものが感じられます。

一方でシステム面では聖戦の系譜ほど特異なものは採用していないと感じます。


本作は4つのルートがあり、それぞれのルートでしかわからない事情というのもあるので最低4周は楽しめます。

また本作では拠点の探索がシナリオと密接に関わっていて、そこも含めてRPG的な要素を強く感じます。

純粋にファイアーエムブレムをしたい人にとっては面倒と感じるかもしれず、ここは賛否あるかもしれない。

本作は烈火の剣以来のしゃべらないプレイヤーキャラが主人公なので、世界観の作り込みと合わせて作品への没入感は随一ではと思います。


システム的な部分では主人公が教師となって自学級の生徒を育成する、という物語に合わせて「少数のキャラを計画的に育成していく」という側面が強いです。限られたリソースで戦うゲームというよりは、じっくり育成するゲーム。こういう点もRPG的かも。

過去作では15-20くらい出撃数がありましたが、本作では9人とかそのくらいです。その代わり、出撃するキャラはほぼ自学級生徒で最後まで固定で、彼らを長期的に育成しいろんな技能を習得させていきます。

特徴的な部分では、過去作では「ソシアルナイトは槍」というようにクラスに対して使える武器が決まっていましたが、本作では剣や槍などの武器はクラスによらず技能を習得でき、「槍の技能が一定以上になったらソシアルナイトになれる」というように、武器とクラスの関係が逆になっているというのがあります。

このシステムがあるため、なりたいクラスの要件を満たしていればあとは自由に武器が使えます。ソシアルナイトだからといって槍を使わなければいけないということはなく、普通に弓を使うこともできます。

ついでに、クラスは条件を満たしてしまえば自由に切り替え可能だったりします。なのでクラスチェンジタイミングについてはそんなにシビアになる必要はないです。

このへんの自由度は本作ならではの魅力です。

エンゲージ

シリーズ最新作にして、私が全ゲームの中で最も好きな作品。

本作の魅力は圧倒的なシステム面の面白さにあります。

これまでキャラの性能はキャラ自身の特徴と、そのキャラのクラスの2軸で表現されていました。本作ではそれに加えて、紋章士という3つめの軸が追加されます。

キャラxクラスx紋章士という3つの組み合わせによって、これまでにない面白い戦術を取ることができます。

これは非常に大きな可能性を秘めていて、実際私はすでに7周していますが、それでも「この組み合わせ面白そうだな」というのがまだまだ出てきています。

また、本作では固定成長モードを選ぶことができます。これはレベルアップ時に伸びるステータスを固定化することができるもので、このモードだとキャラの成長に再現性が生まれます。

従来のシリーズであれば成長のランダム性も面白さがありましたが、本作の肝は面白い組み合わせの発見なのでランダム性はノイズになり得る。このため固定成長モードは非常によいと考えています。


一方でシナリオ面ではいくつか問題を抱えているように思います。

まず序盤「過去作で見たな」というような展開が連打される点。そして、ラスボスに威厳がなさすぎる点。

最初と最後が微妙なことになっているので、それで著しく評価を落としているように思われます。

それ以外、特に中盤は本作らしいアツい展開がたくさんあり、私はすごく好きです。が、それはそれとしてシナリオ全体として見ると、素直におすすめできないのも事実ではあります。

余談ですが、シナリオ面の補完は本作のコミカライズ版が極めてよい出来なので、副読本としておすすめです。


クラスチェンジについては「クラスごとに規定の数値が加算される」という伝統的なものです。ただ、上級職のほうが成長率がいいので、可能な限り早めのクラスチェンジが推奨されます。