年末なので、一年の総括的なコンテンツをやっていく。
ラノベ編。
声優ラジオのウラオモテ
声優をテーマにしたラノベというのは以前からいくつかあったのですが、いずれも短命。
そんな中、本作はめちゃくちゃ出版側にプッシュされています。
1巻が出る段階でPyxisのラジオとのコラボ企画が行われていて、そこまで力を入れるのかと驚きました。
作品自体もよいのですが、章の間に声優事務所に載っている風の声優プロフィールや、声優ラジオ風の対話コンテンツがあって、これがいかにもありそう!という感じで面白い。
というより、私は2巻まではそこが1番のよさだと感じていました。というのも2巻までは物語の主軸があまり声優とは関係ない感じで、見たいのはそれじゃないんだよ感がなきにしもあらずだったんですよね。
ところが3巻でこれは大きく変化しました。声優要素がめちゃくちゃ大きく扱われるようになった。3巻では主人公が大きく飛躍するような展開があるのですが、作品についても主人公同様に飛躍があったと思います。
3巻で大きな可能性を見せてもらったので、4巻にはめちゃくちゃ期待しています。
というか、声優ラノベで打ち切られずに4巻が出るというのがすごい。しかし、それだけのポテンシャルを秘めた作品だとは思います。
ゆくゆくはアニメ化してほしい。
こういうニッチなところを狙った作品はアニメ化までいかないのが常ですが、「魔女の旅々」がアニメされて人気を博するのが令和という時代。
何が起こるかわからないし、期待しています。
本シリーズは現在、3巻まで発売されています。
(余談ここから)
主人公2人は作中で声優として素の自分とは違うキャラを作っています。いろいろあってそれがバレてしまい、結局素で声優ラジオをやることに。ですが、ラジオ中の1コーナーとして突然キャラが復活するというくだりがあります。
これ完全に手取川海瑠(ガールズラジオデイズ)なんですよね。明らかに最高でした。
ここのシーンだけでも音声付きでPyxisさんにやってもらえないだろうか・・・。
(余談ここまで)
董白伝~魔王令嬢から始める三国志~
いわゆる異世界チート転生というやつです。
ただ、チートに関しては少し意外性があります。
というのも、主人公の転生先は董卓の孫娘。「負け」が確定しているような転生先なのです。
おまけに知られている三国志とは異なる出来事ばかりが発生し、現代的三国志知識は役に立たず。
では何がチートなのか。
それは主人公自身がそもそも有能であったことです。
ただ、感情的になりやすい性格のため現代社会には適合できなかった。
それが三国志の世界に転生したとなれば話は変わります。ちょっとしたことで怒り狂って大暴れするような人材が豊富な世界に、主人公の性格は完全に適合していたのです。
さらに転生先は幼女。難のある性格も幼女であれば許されるというわけです。
主人公が有能といっても状況は極めて不利。頼れる手駒がほとんどいない状況でどうやって生き延びるのか、という面白さがあります。
主人公は幼女ですが、作品の雰囲気は意外なほど三国志演義に近い。三国志が嫌いでなければ普通に楽しめると思います。
本シリーズは現在、2巻まで発売されています。
スパイ教室
「声優ラジオのウラオモテ」同様、1巻から出版側にめちゃくちゃプッシュされているタイプの作品。
それに相応しい面白さがもちろんあります。
声優ラジオとは違って、万人受けする作風であるのも強みかと思います。
主人公の青年が、スパイの少女たちを育成するというファンタジア文庫が得意とするジャンルの作品です。
「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」や「アサシンズプライド」が好きであれば、まず楽しめる思います。
主人公として男性教師がいるものの、ヒロイン側の視点で物語が進むことが多いという構図も上記2作品と同様。
本シリーズは叙述トリックが多用されているのが特徴。
最後に毎回どんでん返しが待っているので、それを予想しながら読む楽しさがあります。
もちろんキャラやストーリーもよいので、何も考えずに読んでいても楽しい。
2巻まで読んだ時点で私の中ではかなり評価の高かった本作。
実は、3巻でさらに評価が高まりました。
3巻というのは、2巻打ち切りの壁を越えたタイミングなので、いろいろ飛躍が起きやすいんですよね(?)。
登場人物はスパイとはいえ、いずれも優等生的。人はわかりあえるんだ的な空気がありました。
ところが3巻。非常に癖の強い性格のキャラが登場しました。一般人とはかけ離れた価値観を持ち、また目的のためならたやすく人を殺めてしまう、他にはない強烈な個性を持ったキャラ。
それが、主人公の側に、その本性を仲間に知られずに存在しています。
この人物の存在が、物語にどう影響を与えるのか。非常に楽しみです。
本シリーズは現在、4巻まで発売されています。
実は4巻は発売したばかりで、まだ読んでいません。読後、また印象が変わるかもしれません。